今週のお題「試験の思い出」
こんにちは、晏藤滉子です。
本日で連続投稿1024回目のブログとなりました(^^)
今日は今週のお題「試験の思い出」より共有いたしましょう
***
以前、試験監督のバイトをしていた時がありました。
学生時代の英検監督から始まって、資格試験や国家資格など多種多様な試験の監督。私は結構このバイトが大好きでした。
理由は、私の趣味が「人間観察」だったから。
カフェ、電車の中、居酒屋さん、街の本屋さん・・・見知らぬ人を眺め想像したり分析するのが趣味でした。これは物心つく頃からの私の癖のようなもの。
この人今朝家族と喧嘩して出てきたかな
この人デートの待ち合わせかな。きっと初デートだろうな
あの人靴に拘って几帳面そう・・・つい妄想の世界にダイブしてしまう。
試験監督のバイトは、人間観察を思う存分出来てお仕事になる。長い間続けられたのも単純に楽しかったからでしょう。
***
ある時大学の大きい講義室を使用した資格試験を担当しました。
150人くらいはゆうに入るような広い部屋。時間は120分でした。
資格試験の場合、試験の答案を済ませたら一定の時間の範囲ならば退室は可能になります。だからその試験によっては、退室可能な時間において一気に人がいなくなるということが起こりがちになります。
そうなると人はまばらにポツポツと・・・人によっては「焦りスイッチ」がONになる瞬間かもしれません。まだ十分時間の余裕はあるのですが、人が去り置いて行かれるという雰囲気に飲み込まれてしまうのでしょう。
その日、私が関心をもった若い女性がいました。
試験前も静かに自習し、とても真面目そう。試験とは関係ありませんが長い髪がとても綺麗で凛とした雰囲気のある女性でした。
試験が始まってからも迷うことなく答案を終え用紙を裏返したら、姿勢をピンと伸ばして目を瞑っている。
眠っている様子ではありません。まるで瞑想でもしているかのよう。
私は退室時間が訪れたら即効で退室するのだろうと思っていました。
退室時間で多くの人が帰り始めても彼女は目を瞑ったまま微動だにしない。そして退室可能時刻が終わろうとした時、広い講義室に受験生は彼女のみという状況になっていました。
彼女は相変わらず目を瞑ったまま動かない・・・。
受検者が他に誰もいなくなった。
数人いる監督者の視線が気になってもおかしくはありません。
それは不思議な状況でした。
「試験終了の時刻となりました・・・」
その瞬間彼女は目を開き正面の黒板をまっすぐ見つめています。
試験を終えた彼女は速やかに退室していきました。
周囲に誰もいないことに動揺する素振りもなく・・・至って自然な雰囲気で。
早々に答案を終えたのにどうして最後まで残っていたのか。
目を瞑りながら何を考えていたのか・・・知る由もありません。
でも私から見たら「かっこいい!」と思ったのが正直なところです。人の動きの流れや、視線というプレッシャーに全く動じることもなく我が道を貫いていく。凛とした美しささえ感じてしまう。
ブレないカッコよさをその女性に感じたのかもしれません。
自分自身時間に追われたり、翻弄されてあたふたしたりすると、
この時の女性のことを思い出します。
たった数時間の接点で言葉も交わさない、二度と会わないであろう女性・・・この不思議な時間を私は忘れることはないと思うのです。